
千年に一度と言われる阪神淡路大震災、そして2004年の新潟中越地震。さらに今、東海大地震が高い可能性として取リ沙汰される中、当然ながら、今住んでいる家は大丈夫だろうか?という不安の声もよく聞かれます。
だが過去の経験を生かしてバージョンアップしてきた現在の住宅、特に十分な耐震実験を経て開発された最近の住宅ならば、倒壊の心配はまず要らない。業界の識者が現代の住宅の耐震性の実状を語ります。

元(株)日本プレハブ新聞社
取締役 編集・企画担当部長
阿部雅敏
「日本プレハブ新聞」は住宅業界ではもっとも歴史のある専門紙
壊滅した神戸の街並みをテレビで見た時はやはりショックでした。しかしよく見ると全壊した家の側に平然と建つ家があったりする。実は、倒壊した家屋の多くは、1981年の新耐震基準の施行以前に建てられたものだったのです。
耐震基準は建築基準法で定められていますが、大地震に見舞われる度に見直しがされ、中でも大幅に耐震基準が高められたのが81年の改訂でした。例えば木造住宅の場合、壁の量や柱の太さなどが細かく規定されました。これが大きな分岐点になったのですね。
81年以前に建てられた家屋は全国にまだ1400万戸残っています。これらは建替えなり、耐震リフォームなり、構造体の強化が急務です。
今回は戸建住宅に限ってお話しいたしますが、例えば阪神淡路大震災でも82年以降のいわゆるプレハブ住宅や大手木造メー力ー等の建物の倒壊は皆無でした。ですから今後大きな地震が起こったとしても、こういった技術的に信頼性の高い住宅であればひとまず安心と言って良いんじゃないでしょうか。

しかし、いくら頑丈な家でも弱い地盤に何の対策もなく建てたら傾いてしまいます。軟弱な地盤は家が不揃いに沈下しやすく、揺れそのものも大きいのです。
もちろん地盤調査をすれば正確に診断できますし、それに応じて適切な対策をすれば心配にはおよびません。
多くの住宅供給元では、地盤の事前調査を実施しています。調べた紬果、軟弱地盤だった場合には、地盤補強を行い、その上で調査結果から設計をしたしっかりした基礎をつくれば固い地盤と同じにできます。
今では、耐震性を実物大実験で実証しているところも多いです。いわゆるプレハブ住宅や大手木造メー力ー等などの建物は、阪神淡路大震災でほとんど倒壊しなかったというのが実証されたのですが、技術力のあるところはさらに過酷な耐震実験等を積み重ねることによって十分な耐震性能を証明した商品を開発しています。このようなメーカーの建物であれば、工法の違いはあっても地震力への対応はまず心配いりません。
更なる安心を望むならば、住宅性能表示制度を利用すると良いでしょう。施主には別途評価手数料が必要になりますが、自分の建てる家の耐震性がどの位なのかを客観的に知ることができ、要求レベルに応じた性能が保証されます。
最近、コマーシャルなどでも話題の免震構造や制振構造。いずれも耐震構造を基本とし、さらに揺れを吸収・制御して建物や家具へのショックを軽減する技術です。
画期的な新技術が脚光を浴びるのは当然ながら、まだまだコスト的には普及レベルには達していません。現在のところ、耐震構造の住宅に家具転倒防止装置を設置する方が現実的な選択だと思います。もちろん補助金が充実してきたり、コストがグンと下がれば別ですが。
もともと構造躯体自体が高い耐震性を持っていますので、免震・制振アイテムは、それに加えてさらに万全を期すということです。

信頼の置ける住宅提供先をいかにして選ぶかが重要になります。
例えば、まず検討メー力ーの家づくりのポリシーを知ること。耐震性についても突っ込んで尋ねてみてください。色々な工法があり、それぞれ地震の力の受け方や流し方も違ってきますので、独自の技術の説明をされるでしょうが、最終的には自分で評判を聞いたり、モデルハウスなどをチェッ
クしたりして判断してください。現場見学会などでは、建ててしまうと見えなくなってしまう構造体も実際に見るだけではなく触っても確認することができます。
とにかく人任せにしないこと。一生に何度もない買い物ですからね。
※住宅性能評価
設計図面を審査する「設計性能評価」とその設計通りに工事が行なわれているかを確認する「建築性能評価」があります。耐震等級の評価は3段階に分かれ、等級が高いほど耐震性能に優れているとされます。
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